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ある日のはなし

今日は私がエチオピアでどんな生活をしているか、ご紹介してみます。

***

今、私は現地パートナー、ヒルットの家に滞在しています。
彼女の家は、アディス市内のコンドミニアムの5階にあります。

ちなみにエチオピアの朝は1時からはじまります。
えっ1時?と思うかもしれませんが、
実は独自の暦や時間を持つエチオピアでは私たちが言うところの7時を1時と呼び、8時を2時と呼ぶのです。

さて、1時に起きた私が最初にすること。
それは湯浴みのため、ため水をバケツに移し、ボイラーで暖める作業です。
この家ではお湯はもちろん、水も出ません
はじめは現地パートナーと同じように毎日ため水を浴びていたのですが
朝晩は10度を切るほど寒い寒い、雨期まっただ中のエチオピア、
いきなり風邪をひいてしまったので、
ガーナで使っていたこのボイラーのことを思い出して、マーケットで買ってきました。
毎朝、このボイラーであたためたお湯を大切に大切に浴びながら、
水もお湯もふんだんに出る日本のお風呂が
なんと贅沢で、稀少で、特別なものかと思ったりしています。

ボイラー

お湯ができるまでの間に、二人で交代で朝食を作り、一緒に食べます。
エチオピアではマンゴもスイカもパイナップルも安くておいしいので、
フルーツ好きの私にはたまりません。
ヒルットは、日本人みたいな体型になりたいらしくて
(私からすると、エチオピア人の方がナイスバディなんだけど)
いつも私の食べる順番や食べ方をそっくりまねするのがおもしろくて、
私もわざといたずらしたりして、毎朝笑いがたえない食事時間です。

breakfast2.jpg

今日はまず工房へ行く前に、ジュエリーショップへ立寄り
副資材として使うアンティークのビーズや十字架をたくさん買い付けました。
品質が一定でないので、ひとつひとつ入念にチェック。
定価のないエチオピアでは、交渉もなかなか大変。

antiqueshop.jpg

工房では契約スタッフのテショーメが待っていました。
彼はかつて輸出用のバッグを作っていたことがあり、
エチオピアでは数少ない、海外市場が求める品質レベルを理解している職人さん
andu ametではいつか日本の腕利き職人さんをエチオピアへ招聘し技術移転をしたいと考えているのですが、
その前段階として、現地の言葉ややり方を熟知している彼に人にトレーナーとして入ってもらったのです。
テショーメは耳が不自由なのですが、豊かなボディランゲージで、
試作の問題点や改善方法をスタッフに伝えます。

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ランチはスタッフたちと一緒に工房でいただきます。
今日のメニューはお豆のカレーとインジェラ。
こちらではグルシャといって、写真のように、仲間同士でごはんをあーんと食べさせてあげる習慣があります。
日本ではそんなこと、母子かパカップルしかやらないので、
こちらで職場のおじさん同士が仲良くやりあってるのをはじめて見たときは本当にびっくりしたものです。
外人の私がやると、いつも大爆笑になります。

グルシャ

食後はスタッフが煎れてくれたコーヒーを飲みながら作業。
どんなに忙しくても、これだけは彼らにはかかせないようです。
お香をたいて、きちんと煮だして丁寧に淹れたエチオピア式のコーヒーを飲むと、
午前中の疲れを忘れ、午後もがんばろうという気持ちになるから不思議です。
このへんはむしろ日本の職場の方が参考にするべきところなのかもしれません。

おいしいコーヒーをいただいたあと、
午後は一人で、取引先のタナリー(革なめし業者)へ打ち合わせに出かけました。

エチオピアにはいくつかタナリーがあるのですが、そのほとんどがきちんとした下水処理システムを持っておらず
クロムなどの有害物質をそのまま河川へ垂れ流しているという問題があります。
andu ametではきちんとした処理システムを持った、環境問題への意識が高いタナリーとのみ取引をしています。

tennery.jpg

ただ、この日はかなりショッキングな報告が…。
「ヒロコさん、実はオーダーしてもらっていた革の納品は早くて27日になってしまいました」
「はい?私の帰国は26日だからそのまえには納品ってお願いしていたはずですが」
「ご、ごめん。あなたの望む革を作るには、今のラインを一度止めてまったく別のものを作らなくちゃいけなくて、乾燥の過程もあるし…もにょもにょ(中略)で、最善を尽くしたけど27が限界で…!」
「27日なんて困ります、なんとしてでもその前に納品してもらわないと!!」
何度も押し問答をしたけれど、結局今回出張中に革を購入することは難しいとのこと
交渉の結果、サンプルが出来次第、送料負担で日本までDHLで郵送してもらうことになりました…。
日本とは価値感の異なるエチオピアではこういうことはしょっちゅうで、
その中で冷静さを失わずどう臨機応変に対応できるかが重要なのですが、
まだまだ修行の足りない私です。

気を取り直し、今度はパーツや工房の備品の調達のために今度はマルカート(エチオピアで一番大きな市場)へ。
領収書書いてください、とお願いしたら、日付欄に
2003年10月30日と書かれて焦った!
前述の通り、独特の暦を持つエチオピアでは、今日は2003年10月30日なのです。
これだと日本では問題になるから、と慌てて下に書き直してもらいました。

invoice.jpg
この現地語だらけの上に、微妙なサイン、謎の日付が入ったこの領収書、日本で本当に使えるんでしょーか。


買い物を続けていると、日本から国際電話。
現在進めている、とあるグラントの最終審査のため、
日本チームと連携しながら書類を作成していて
担当のプロボノさんが、このところ毎日国際電話をかけてきてくれます。
慌てて比較的静かなところへ移動し15分ほど打ち合わせをしたあと、
残りの買い物を急いですませてネットカフェへ。
電話で連絡のあった資料を確認、アップデートして、
日本のスタッフと共有しているdoropboxのファイルへ格納しました。

今回の出張はちょうど、韓国大統領のエチオピア訪問と時期が重なり
ネットが統制されていたらしく、なかなか接続できず、本当に苦労しました。
(ちなみにこの時点ではまだ気づいていないのですが、自分のPCのデスクトップ上では共有フォルダに格納されていたかに見えたファイルが、接続状況の関係で実はまったく共有されていなかったという恐ろしすぎる事実に、資料提出の締め切りの数時間前に気づくことになります…)

すっかり夜遅くなってしまい、急いで工房へ戻ると
スタッフはもう帰宅し、ヒルットがひとりで型紙を作成しています。
警備員さんが見回りに来て、建物を追い出される9~10時くらいまで
ふたりでもくもくと仕事を続けます。
多分、こんなに夜遅くまで自主的に、熱心に働くエチオピア人はほとんどいないんじゃないかと思います。
彼女は本当に働きものなのです。

帰宅後は、朝と同様二人で夕食を作り、一緒に食べます。

dinner.jpg
写真でヒルットが手にしているのはプロボノTさんよりいただいたコペルニクさんのソーランタン
日のあたる窓辺に置いておくだけで最長8時間も使えるし、蝋燭より安全なので、
停電の多いエチオピアでは大活躍でした!


朝と違うのは、ゆっくり話ができること。
今日あっためちゃちゃ笑える出来事、新たに雇用するスタッフとの契約について、頭の痛いお金のあれこれ、家族や恋人の話、このプロジェクトを通じて実現したいお互いの夢…。
仕事とプライベートの境目をいったりきたりしながら、夜が更けるまでおしゃべりをします。

水がなかったり、ガスがなかったり、彼女の家に滞在して大変なこともあるけれど
(って居候させてもらいながらこんなこと言うのもあれですが…^^;)
こういう時間が持てるのは本当にありがたいし大切だな、と思います。

***

打ち合わせをする相手が輸送会社の人だったり、アーティストだったり、役所の人だったり、
出かける場所が銀行だったり、市場だったり、職業訓練校だったりはするものの、
毎日だいたいこんな風に仕事をしています。

JOCVとしてかつて2年以上この地に住み、
その後も何度も行ったり来たりしているけれど
未だに相変わらず驚かされることや笑えること、
新しい発見が毎日のようにあります。

日本ではありがたいことに少しずつお手伝いしてくださる方が増えてきましたが、
現地ではまだ一人なので、毎日本当に本当に大わらわです。
でも、日一日と重ねるうちに、少しずつ体制が整ってきて
試作をひとつ作るたびに、少しずついいものができてきて、
大変だけど、毎日が楽しい。
まだしばらくこんな日々か続くと思いますが、
もうちょっとがんばろうと思っています。



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hiroko

Author:hiroko
株式会社andu amet代表

ETIC.ソーシャルベンチャースタートアップマーケット第1期メンバー
http://startups.etic.or.jp/archives/231/

イノベーショングラント第5期フェロー
http://www.i-grant.jp/

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